活動報告

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ピンチをチャンスに! ~4/29勉強会報告~

2020年4月29日(水・祝)に行われた「緊急ミーティング:コロナ禍の日本で生活している海外ルーツの人の声を聴こう!」は70人以上の方の参加を得て、Zoomを利用した活発なオンラインディスカッションが行われました。

話題提供者にお呼びしたのは、4人です。


神田すみれさん:
多文化ソーシャルワーカー・コミュニティ通訳者。さまざまなチャンネルで外国ルーツの人たちを支援。

神田さん




サインジュ・ラビンさん:
ネパール出身。アジアンスパイスの店を経営すると共に、ネパール人コミュニティの団体で活動。

コロナの影響で再来日できないとのことで、ネパールから参加してくださいました。




カワサキ・マリアさん:
フィリピン出身。母語学習協力員として新栄小学校に勤務すると共に、多言語スタッフやボランティアとして活躍。

カワサキさん


中村博俊さん:
ブラジルに8年居住したことがあり、津市でブラジル人学校運営の経験あり。現在はフードバンク多文化みえの代表。

中村さん

急なお願いでもあったので、最初の話題提供はフリートークでそれぞれ10分程度とし、このコロナウィルス感染蔓延の影響で、仕事やバイトがなくなり経済的困窮に直面している外国人ルーツの人たちの実情をお話しいただきました。


これは、外国ルーツの人たちに限らず、契約や派遣、アルバイト、特に行動制限要請で影響を受けている業界で働いている人に共通している課題です。その中で、外国人住民の人たちに特有な問題として、在留資格によって使えない制度があるということと、必要な情報になかなかアクセスできない、ということがあるようです。

しかし、この状況の中、日本語のみだった学校からのお知らせが、外国ルーツの保護者に向けて、翻訳されたり、愛知県の生活福祉資金貸付金(緊急小口貸付資金・総合支援資金)の対象が「永住者」という在留資格の条件が「在留資格があるすべての外国人」に拡大されたり、ということもあるとの報告がありました。カワサキさんの「言ってみるもんだ、と思った。」や、神田さんの「社会を動かすにはむしろ今がチャンスかもしれない。」というのはその通りかもしれません。


後半は質疑応答とディスカッションとしました。最初のうちは、なかなか一般参加者の方からの発言が出てこなかったのですが、じきに、Zoomのチャット機能を使ったり、挙手していただいてマイクとビデオを通じて実際に発言していただいたりで、多くの情報、ご意見をいただきました。


外国ルーツの人たちは、主に同じ言語の仲間の中でSNSを通して流される情報を主な情報源としているようで、話題提供者の方々は、大切な情報をボランティアで仲間に流して下さっています。反面、行政などが出す、翻訳された情報にアクセスしている人はあまりいなさそうだ、とのことです。なぜ、アクセスしないのか、という点に関してはあまり意見が出ず、不明です。でも、行政では貴重な予算や人材を使って翻訳を提供していると思われますので、あまり使ってもらっていないようであれば、とてももったいないことです。「利用される翻訳情報」にすることはひとつの課題と思われます。


緊急時はチャンス、であると同時に、平時から制度整備を含めて「外国ルーツの人たちも共に生きる仲間」とする社会にしていくことが大切なのでしょう。

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ミーティング後の参加者アンケートでは、たくさんの「有用だった」とのフィードバックをいただきましたが、少し辛口のコメントもいただきました。

1つには、留学生や実習生の生の声がなかったこと。これは企画段階から認識していました。急いで立ち上げた企画のため通訳者などを確保する時間がなく、話題提供者の方々に代弁していただくに留まってしまったのはご指摘のとおりです。

もう1つには、当事者(留学生)と思われる方から、外国人が実際に困っていることに対する、具体的なアドバイスがなかったということ。これも「知る」「考える」「動く」の目標のうち、「知る」の入り口、それも「日本人が、」ということに留まっていたためのご指摘かと思います。


多分に不完全で未熟なミーティングではありましたが、得るものはそれなりにあったと思います。何か取り急ぎできることを、強引にまとめるとしたら、以下のような感じでしょうか。

1.今なら動かせるかもしれないので、積極的に声をあげる。

2.同言語でインフォーマルに流される情報発信に協力する。(信用できる情報の提供やネット発信に慣れないボランティアへの支援など)

3.公的情報の翻訳がなぜ活用されないかを分析する。

4.フードバンクにお米を提供する。(セカンドハーベストに)


いつもは、区の学習センターで、会員を中心にこじんまり開催しているBiPHの勉強会ですが、本当にたくさんのご参加をいただきました。オンラインで無料(いつもは500円の運営協賛金をいただいています)ということもあるかもしれませんが、今回のトピックへの関心の高さもあるでしょう。

BiPHのビジョンであるHealth for Allにつながる大切な課題ですから、引き続き考えていきたいと思います。

なお、当日の様子は参加者の方々の了解を得て録画しています。画像は少し荒くなりますが、1G(2時間)にサイズを落として、ご希望者限定で公開します。参加できなかった方でご希望なさる方、事務局にご連絡下さい。


この勉強会が、皆さんの「考える」と「動く」につながりますように・・・

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