3/15勉強会報告:ミャンマー・カレン州の農村に暮らす障害者の実態調査から
3月15日の勉強会は河野眞さん(作業療法士、国際医療福祉大学教授、国際リハビリテーション研究会代表)を千葉からお招きして、標記のお話をお聞きしました。
内戦が終結したとはいえ、対象地域であるカレン州は未だ外国人の立ち入りが厳しく制限されているとのこと。河野さんは(特活)難民を助ける会/AAR Japanの協力を得て、同州ラインブエ地区の15村で障害者に関する調査を行いました。
ラインブエ地区はヤンゴンから車で7時間ほど、タイとの国境に近く、薪やろうそくを主な燃料とする農村部です。同地区でAARのローカルスタッフが全世帯を訪問調査し、障害児者の有無や、生活状況などを聴き取りました。内容は単なる障害の有無や種別だけでなく、教育・就労へのアクセス、地域活動への参加、差別に直面しているかなど、社会参加に関わる項目も含まれています。河野さんのお話からは、これらの内容を現地スタッフが正しく調査できるように、事前に質問項目や内容を吟味した様子が感じられました
調査結果からは、直近のミャンマーの国勢調査結果やWHOで公表されている世界的傾向とは異なる実態が見えてきました。また、内戦で障害を負った人が予想より少ないこと、社会参加に関しては女性のほうが制限が多いにも関わらず、女性のほうが差別を感じている人が少ないこともわかりました。これらの結果をどう解釈し、どう支援につなげていくかを考えるためにも、河野さんは今後は直にインタビュー調査をおこなうとのことでした。
障害者に関する大規模な実態調査は、その多くが障害の種別や身体的な障害の重症度にとどまり、今回の河野さんのように、生活の困難さや社会参加に関することまで聴き取ったものは貴重です。今回の結果からはまだまだ不透明な部分(河野さんは「もやもや」と表現していましたw)も多く、それをはっきりさせるためにも何人かに直接インタビューするとのことでした。
勉強会にはAAR Japanの職員さんも参加され、AARの活動の様子、特に障害に関する聴き取り調査のときに、河野さんのアドバイスがとても役立ったと話されました。
今回の参加者には、ミャンマー人のかたもいらっしゃいました。ミョーミンさんという車いすユーザーの男性で、ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業の研修生として2018年9月に来日し、研修の一環で3月から名古屋のAJU自立の家に滞在しています。今回の勉強会も含め、日本で学んだことを現地での活動に活かしていただけますように。
河野さん、貴重なお話をありがとうございました。更なる調査のご成功を期待しています。
そして、ご参加くださった皆様、ありがとうございました!
参考Web
AAR Japan
https://www.aarjapan.gr.jp/
ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業
https://www.ainowa.jp/jigyou/introduce/index.html