1/25勉強会報告:国際NGOでの障害者支援の実際
1月25日の勉強会は理学療法士の山内章子さんをお招きして、障害分野の国際協力についてのお話を伺いました。
山内さんは日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)の海外派遣ワーカーとして、主にバングラデシュのマイメンシン市にあるPCC(障害者コミュニティセンター)を拠点に、3期11年にわたって活動されました。
理学療法士の人口比は、日本では0.1%。人口1000人に対し理学療法士1人の割合です。一方、バングラデシュは人口11万人に理学療法士1人、0.0009%という少なさ。リハビリが必要な人がいても、受けることができるひとは限られています。
また、子どもが何らかの障害を持つ場合、特に地方においては、母親の罪が子どもに障害を持たせた、と思われていることが多く、子どもを隠したり、何もできない子とみなされて就学させない傾向にあるとのこと。このような状況を改善させるべく、今日では多くのNGOが障害をもつ子どもや大人の社会参加を支援するプロジェクトを展開しています。山内さんが活動していたPCCもそのひとつ。山内さんはPCCで理学療法士として活動するだけでなく、現地の理学療法スタッフの発掘、育成、指導を手がけました。
(写真提供:JOCS)
山内さんは技術をただ教えるのではなく、スタッフの経験や考え方に合わせて彼らの気づきを促し、スタッフ自らが変化していくよう支えました。こうやって文章で書くのは簡単ですが、人の心を変えるのは長い時間がかかります。山内さんは自分自身も変わりながら、長い時間をかけて、セラピストのマインドとテクニックの両方を伝えました。いまや山内さんが育成したスタッフはマイメンシン以外の地域にも及び、地方、特に農村部で暮らす障害者を支えています。
山内さんが支援したのは理学療法スタッフだけではありません。PCCが支援している女性障害者の当事者団体(モヒラクラブ)を通して、女性障害者の人権と生活を守る活動に深く関わりました。他の国と同様、バングラデシュでも女性の人権は低くされています。女性障害者は、女性であることと、障害を持つことの二重の苦しみと共に生きているといっても過言ではありません。山内さんはそんな彼女らに寄り添い、時には外国人という立場も活用しながら、社会の偏見と闘う方法を示しました。山内さんと共に活動することで、モヒラクラブのメンバーが得たのは「誇り」。自分の人生を前向きに捉えられるようになった女性が増えたとのことでした。勉強会では事例を通して障害者やスタッフへの関りと変化を紹介していただきました。
今回の勉強会の参加者には、ご自身が障害を持つ方、ご家族に障害者のいる方、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・介護職員などの専門職、NGO職員、バングラデシュに縁のある方など、多彩なメンバーが集まりました。それぞれの立場で感じることが多かったようです。終了後の懇親会では、更に深堀りされたハナシが・・・
山内さん、参加者のみなさん、お疲れ様でした&ありがとうございました!