第56回勉強会「科研費研究から草の根事業へ、そして再び研究への展開」
かなり遅れましたが、9月の勉強会報告です。
9月28日(金)は、水元芳さん(中村学園大学・栄養科学部教授)のミクロネシアの肥満対策第3段「科研費研究から草の根事業へ、そして再び研究への展開−研究と現場をつなぐミクロネシアの肥満対策」でした。
南大洋州の島嶼国であるミクロネシアは世界有数の肥満の国です。BMI30以上の人は世界では、男性約11%、女性約15%ですが、ミクロネシアは男性約30%、女性はなんと半数を超えています。
そんなミクロネシアとの付き合いが長く、食と栄養の専門家である水元さんから、今年もお話をお聞きしました。(ちなみに、「食」と「栄養」は専門性としてかなり違うそうです!)
2016年4月の勉強会では、2013年から取り組んでおられた肥満対策行動と「将来への希望」の関連についての研究(科研費研究)のお話でした。特に、前半の質的研究部分で「現状の許容」(平く言えば「太ってたっていいじゃん!」)が観察されたことや、その他観察された価値などに基づいて、後半の量的調査の質問票を開発したことなどをお話いただきました。
この研究をもとに、2016年からは食事調査ツール開発に関わる研究に発展させ、また、2017年からはJICAの草の根技術協力事業として、減量・肥満対策プログラムを開始しておられます。2017年8月の勉強会では、開始後間もない草の根プロジェクトの計画を中心にお話を聞きました。
そして、3回目の今回は、草の根プロジェクトで現在進行中の「減量コンテスト」や、その他活動にこれまでの研究成果をどのように活用しているか、などを、食事調査の結果に絡めながら、お話いただきました。今回の参加者は草の根プロジェクト実施に関心のある人もいたため(BiPHも含めて!)プロジェクトのロジなどにも質問がおよびました。
研究と実践を行き来しながら、現地の人びととともに人びとの健康のための活動を継続する、、、まさにBiPHのめざすところであり、これからも定期的にお話を伺って行きたいと思います。
(↑ 草の根プロジェクトの日本研修の様子が、福岡とミクロネシアの両方で新聞記事になったとのこと)