活動報告

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第4回新寺子屋「『健康をささえる社会のしくみを考えよう』を振り返って」報告

2016年12月18日から24日にタイ公衆衛生省・国際保健政策計画の研究者を招へいして行われた連続公開講義「健康をささえる社会のしくみを考えよう」(名古屋市立大学看護学部、アジア保健研修所、JICA中部国際センターの共催)は好評のうちに終了しました。Bridges in Public Healthは共催こそならなかったものの、準備勉強会の開催や、開催の準備などで関わり、現在は、配布された資料を冊子にまとめるべく作業中です。

 

そんなこともあって、2月24日のBiPH勉強会は、「健康をささえる社会のしくみを考えよう」の総括としました。期間中とても活発に行われた質疑応答の内容を確認することで、今回の学びを振り返り、また、今回の学びをもとに次に何ができるのかについてディスカッションを行いました。(「健康をささえる社会のしくみを考えよう」の内容については↓。)

https://sites.google.com/site/dec2016systemshealth/

 

期間中には3回の公開講義以外に、保健制度研究、根拠に基づく保健政策立案、人材育成などについてのセミナーや講義も行われました。そのすべてに共通してあったメインメッセージとしては、「健康における公正」という目標の中で、地方の保健医療制度やUHCなどの「しくみ」づくりとその屋台骨である保健人材育成を行なってきた、という点でしょう。

 

もう1つのメッセージは、「健康における公正」を目指すにあたっての鍵になるのは「エビデンス」である、ということではなかったかと思われます。「健康における公正」を目指すことに異論のある人はあまりないと思いますが、それをイデオロギーだけではなく、冷静にエビデンスで示そうということです。

 

「powerに勝つには、best evidenceを出すこと、general publicをeducateすること」

 

講義外のタイミングでしたが、Dr. Virojのこの発言が今回の結論かなと、筆者は個人的に感じていて、このこともシェアしました。変に訳してうまく伝わらないといけないので、敢えて英語混じりで書きましたが、powerというのは「健康における公正」を妨げるようなpowerのことを言っておられました。また、educateは「教育する」と訳してしまうと少し上から目線に聞こえてしまうかもしれませんが、もともと「引き出す」という意味であることを考えると納得できます。

 

それでは、IHPPのようにエビデンスを出せるようなデータへのアクセスがなかったり、それを元にした政策立案や制度設計に関わるべくもない、われわれ保健医療関係者個人や小さい団体には「しくみ」に関していったい何ができるのだろうか?ということも少し話し合いました。「健康における公正」というマインドを持つこと、エビデンスを理解し活用できること、そういう人材を増やすこと、などではないかということで、今回の勉強会をしめくくりました。

 

少し付け加えれば、エビデンスと言っても元はと言えば個々のデータの集まりを拠り所にしているのですから、現場の保健関係者に関して言えば、質の高い情報を記録できることも「しくみ」づくりに参加する重要な点であると思います。「エビデンス」や「データ」に関してはしょせん数字いじり、人の「公正」とはほど遠い、と感じる人もいるかもしれません。それについては、Dr. Virojが昨年WHO Bulletinに書いた記事が参考になるかもしれません。ふつうの論文ではなく、投稿募集の記事ではありますが、彼のメッセージが1ページに凝縮されていますので紹介します。

http://www.who.int/bulletin/volumes/94/4/16-172783.pdf

https://drive.google.com/file/d/0B3LFX6PLQlkeN0VZc0VTLWE5WHc/view?usp=sharing(BiPHによる日本語訳はこちら)

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