第100回てらこや報告(2026年1月23日開催)
第100回てらこや報告(2026年1月23日開催)
BiPHてらこやも皆様のご協力で何とか100回目を開催できました。記念すべき第100回は木下貴雄さん(外国人高齢者と介護の橋渡しプロジェクト代表、あいち多文化ソーシャルワーカーの会代表)をお迎えして、介護施設における異文化コミュニケーションの現状と課題についてお話しいただきました。

木下さんは中国生まれで、高校卒業後に中国残留孤児のお父様とともに日本に来られました。現在は中国語の医療通訳者や多文化ソーシャルワーカーとして活躍される一方、中国系入居者のいる施設で介護業務に従事したり、各地で外国人高齢者の介護問題について啓発活動をされています。その原点にはお父様の介護や看取りを通して異文化終活の難しさを実感したことにあるとのことです。

利用者の大多数が日本人である施設ケアや訪問ケアの現場では、海外ルーツの利用者の文化や慣習が反映されにくいのが現状です。海外ルーツ高齢者の多くは若くして来日し、さまざまな言葉・文化・慣習の壁を乗り越えてきました。ですが、高齢になって介護を受ける段になったり、最期をどう迎えるかが現実化すると、これらの壁が再度立ちはだかるのです。

そこで木下さんが提案するのは、ケアのグローバル化です。ケア提供者の異文化理解を促し、多文化対応ケアを進めていくことで、外国人利用者が安心かつ自分らしく余生を送ることのできる場づくりを施設や訪問ケアの現場で目指したい、そのためには、外国から介護人材を呼ぶことだけでなく既に在留している外国人の介護人材育成と積極的登用、日本人ケア提供者の異文化理解を進めることが重要だと話されました。


外国人ケア提供者は単なるケア提供者ではなく、外国人利用者との橋渡し役も担える人材ということです。確かに、これだと外国人ケア提供者も自身の言葉や文化や慣習を活かしたケアができますし、自分の文化や介護の仕事に誇りを持てそうですね。

日本で暮らす外国人高齢者は、年々増加しており、近い将来に「多文化高齢社会・介護時代」が訪れます。誰もが自分らしく生ききることができる社会にするために、今こそ多文化共生介護を真剣に考える時だと、木下さんのお話をお聞きして思いました。
勉強会終了後に、参加者から木下さんへの質問をお預かりしました。
【質問】
木下様の貴重なお話ありがとうございました。福祉職ですので日本人高齢者の介護人材不足も頭の痛い課題ですが、日本に住む外国人高齢者のケアも同時に進めていく必要ありですね。
日本語教師養成講座で この『課題』を学んでほしいです。
今の日本語教師養成講座では 日本語を教えるに重きが置かれているばかりです。
日本に住む派遣切りにあった方に介護初任者研修を受けて橋渡し役になっていただきたいです。
各母語の介護ガイド本があるとよいのでしょうか。生成AIで作成できるでしょうか。
【木下さんの回答】
ご質問ありがとうございます。
日本語教師養成カリキュラムの中に外国人の高齢化問題について取り上げるのとても良いご提案と思います。
今後の日本語教育においては、多文化共生とのかかわりも求められるようになってきているため、日本語教師養成カリキュラムの再編成および教師の意識変化が求められているかと思います。
外国人介護というと、海外からの介護人材に注目してしまいます。また、日本語の介護教材もここ数年の間に、外国人介護人材のためのものが多数発行されているのが現状ではないと思います。
生活者としての外国人高齢者のケアのための各種母語介護ガイド本があると、外国人コミュニティにとっては、たいへん助かると思います。外国人高齢者ケアに関する蓄積データが少ないと思われるため、生成AIで作成するのは少し難しかもしれません。しかし、トライしてみる価値はあるかと思います。
************************************
木下さんと参加者の皆さんとのディスカッションから新たな可能性が見出せそうですね。
木下さん、ご参加下さった皆さん、ありがとうございました。

