ありのままを認め、主体的に生きる・・・3月25日てらこや報告
3月25日の勉強会は「患者と医療者と社会の架け橋に ~当事者セラピストの活動~」というテーマで、山田隆司さんのお話をお聴きしました。
山田さんは障害者で難病患者で作業療法士、つまり、支援を受ける当事者であり支援者でもある「当事者セラピスト」として活動しています。
「当事者セラピスト」は、疾病体験や障害体験といった個人の主観的なものからなる「体験知」と、セラピスト(≒医療専門職)として獲得した専門知識や臨床経験からなる「専門知」を併せ持つ人をさします。患者(障害者)・支援者・社会をつなぐ活動をされる方も多いです。
当事者セラピストには、疾病や障害のある人が医療専門職になる場合と、医療専門職として働いている人が何らかの疾病や障害を持つに至る場合とがあり、山田さんは前者です。勉強会では、山田さんが子供のころに感じた周囲の人との違い、作業療法士というセラピストになった経緯、そして現在に至るまでを、ワークショップを交えながらお話しいただきました。
山田さんの活動の一端はこちらをご覧下さい。
山田さんのメインメッセージは「バリチョイを楽しむ」つまり「ダメな自分もダメな社会もいいじゃんいいじゃん、って思えればいいじゃん」です。世の中のバリア=(物理、心理、情報、制度の)障壁はたぶんなくなることはない、でも、バリアがあることを楽しめるくらいにまで減らすことはできる、そのためには、まず自分をありのままに認め、そして同時に社会のダメなところも認めてあげることから始めよう、というものでした。
このように書くと、山田さんはとても前向きな人に感じますが、いろいろな出来事や人との関わりを通して、時にはポジティブに、また時にはネガティブに揺れる心と向き合ってきたとのことです。そのような経験から来た上記のメッセージは、軽やかでありつつも、ずっしりとした重みを感じました。
この日の参加者には医療関係者だけでなく、疾病や障害の当事者の方も多数ご参加いただけました。山田さんへの質問、メッセージ、今後の勉強会への提案など、普段にも増して多様で、そして学びの多いひとときでした。
いただいた質問のうち、当事者の方から「ポジティブになるコツは?」というのがありました。
山田さんはいくつかの方法を伝授されましたが、まずは今の自分のありのままを素直に認められることが大切で、そのためには人の手を借りることも必要だとのことでした。
この場合の「人の手」の一翼を担うのは医療や福祉の専門家、あるいは支援者でしょう。
支援者に必要なのは、当事者が直面する障害のありかに気づくこと、その人たちが行う作業や活動の背景にある想いを一緒に想像すること、そして、当事者が自分の人生を主体的に生きることができるよう、不安定で揺らぎやすい、一進一退の自己肯定感に寄り添うこと、でしょうか。
最後に、山田さんから支援者の皆さんへ。
当事者はとても頼りにしてます。今、できなくてもいい。日々、当事者から学び取りましょう。そして、みんなで素敵に歳を重ねましょう。
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「わたころプロジェクト」