11/27勉強会報告:海外事業キックオフ!BiPH東ティモールプロジェクト
11月27日の勉強会はBiPHの海外事業について報告しました。
BiPHは本年9月より東ティモール民主共和国で「パーツ大学における『住民ニーズに基づく保健実践』のための教育強化プロジェクト」(JICA草の根技術協力事業支援型)を開始しました。
このプロジェクトでBiPHは東ティモールのパーツ大学とタッグを組み、データマネジメントの側面から住民ニーズに沿った保健プログラムを提供できる人材を育成します。プロジェクトの対象はパーツ大学公衆衛生学部の先生たちと学部生の皆さんです。
学生さんたちはこんな感じ。シャイだけど実は好奇心旺盛。
パーツ大学公衆衛生学部ではPBLと呼ばれる学外実習に力を入れています。これは、学生さん達が村に住み込み、住民のニーズ調査とそれに基づいた介入プログラムの立案、実施、モニタリングまでの流れを実践するものです。BiPHは、学生さんたちが住民のニーズを正しく把握できるよう、データマネジメント教育の側面から先生方の教育をサポートします。
実際に学生さんたちが住み込んだ村への道のり。幹線道路から歩いて20分くらい奥に入ります。
データマネジメントに着目する理由、それは保健サービスの現場で見えた課題からでした。
東ティモールは21世紀最初の独立国で、保健医療サービスも徐々に整いつつあります。近年では、国民の保健データを保健行政に活用するシステムも構築されました。これは、保健データを住民への健康指導に活かすとともに、収集したデータを保健政策に反映させ、より住民のニーズに沿った健康プログラムを提供することが狙いです。
そこで、東ティモールで保健データが実際にどのように使われているかを調査したところ、データが保健プログラムに反映されていない実態が明らかになりました。それと併せて、データを収集&集積する仕組みはできているものの、それを実際に使いこなす人材を育成することの課題が見えてきました。
ではなぜパーツ大学の学生なのか。
人材育成の方法には、実際にその仕事に従事している人を教育する方法(in-service training)と、将来従事する可能性のある人=学生に教育する方法(pre-service training)とがあります。これらのうち、BiPHの持つ強みを生かすことができるのは、後者、つまり学部教育のほうです。そこで、中央レベルから草の根レベルまで幅広く保健分野の人材を排出しているパーツ大学とタッグを組むことにしたのです。
こうして始まったプロジェクトですが、コロナ禍の影響で、当初予定していた活動ができず、現在はオンラインでパーツの先生方と会議を重ねています。
BiPHから報告した後は、参加者の方々から情報やアドバイスをいただきました。
東ティモールに縁のある参加者からは、現地の活動に役立ちそうな具体的な情報やアドバイスをいただきました。情報共有と他団体と協働が大切とのこと。
また、国内外で保健教育に携わっている参加者からは、学生の意識を高めるしかけや、公衆衛生分野の教育に役立ちそうな日本の現場をご紹介いただきました。
いただいた情報やアドバイスを今後の運営に活かしていきます。ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました!!